こんにちは。物質領域M2の植木穂香です。
10月26日に、茶杓(ちゃしゃく)削りを体験しました。
茶杓とは、お抹茶をすくってお茶碗に入れるための茶道具です。
小さくて軽い茶杓ですが、茶人にとっては武士の刀と同じくらい大切なものです。
茶杓は曲げた竹を小刀ややすりで削ることで作ることができます。
手作業で削るため、ひとつとして同じものはなく、竹の模様や色によってもその様子は様々です。
お茶会を開くごとに茶杓を削る茶人もおり、招待客がそれを気に入れば差し上げることもありました。
様々な文化人も茶杓を削り、銘をつけています。
小説家の谷崎潤一郎は、自分の著書である「細雪」を茶杓の銘にしています。
現在は逸翁美術館に収蔵されていますが、その銘に従うような繊細な美しさとともに、はかなさを感じます。
茶道会では竹細工師の影林則昭さんのところに赴き、茶杓を削りました。
影林さんに削り方のコツを教わりながら、小刀ややすりを使って竹を削りました。
先を曲げただけの竹が、だんだん見慣れた姿に変化していきます。
櫂先(かいさき、抹茶を掬う部分)を丸くすると、一気に茶杓らしくなりました。
自分が使いやすく、美しい仕上がりになるように削った茶杓は十人十色で、それぞれの個性が出ています。
各々で銘をつけた、お気に入りの茶杓ができました。自分の茶杓を使ったお点前には、より一層身が入ります。
茶杓は丁寧に何度も使うことで、良く手になじみ、つやが出てきます。
来る12月に開催される学内茶会では、自分の茶杓でお点前をします。
お客様に自分の茶杓をお披露目することを心待ちにしています。